小説 (story)
11689 「ごく単純に『すぐに来い』。
11690 こうやって呼べば、あの男も断るまいと確信していた。
11691 何しろあの男は、あのご婦人以外に書ける者があろうとは思ってもみなかったのだ。
11692 かくして、ワトソンくん、かつて悪の手先であったこの踊る人形を、僕らは最後に改心させることができた。
11693 そして僕も、君の備忘録の中に、またひとつ不思議な事件を加えるという約束を果たせたというわけだ。
11694 三時四十分の汽車に乗れば、ベイカー街に戻って夕食にありつける気がする。」
11695 結びの言葉を一言だけ。
11696 アメリカ人、エイブ・スレイニは、ノリッジの冬季巡回裁判で死刑を宣告されたが、軽減に値する事由があり、ヒルトン・キュービット氏が先に撃ったことが確実であったので、刑を改めて懲役刑とされた。
11697 ヒルトン・キュービット夫人については、その後、快癒の知らせを受け取ったものの、再婚もせず、余生を救貧事業と亡き夫の遺産管理に捧げていると聞くのみである。
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