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小説 (story)

踊る人形の冒険 (danc)

11570    籐の杖を振り回しながら男がやってくる。
11571    我が物顔で小道をふんぞり歩き、堂々と呼び鈴を響かせるのであった。
11572    「どうやら諸君、」
11573    ホームズが静かに言う。
11574    「我々はドアの影に潜んだ方が賢明のようだ。
11575    あのような男が相手では、用心に越したことはない。
11576    手錠も必要です、警部。
11577    話すのは、僕にお任せ願いましょう。」
11578    一分のあいだ、我々は息を殺して待った。
11579    これもまた、忘れることの出来ないひとときだ。
11580    やがて扉が開き、その男が中に入る。
11581    と思ううちに、ホームズが拳銃を男の頭に狙いつけ、マーティンが素早く手錠をはめた。
11582    あっという間の出来事だったので、男も手も足も出せず、しばらくしてようやく捕まったことに気づく有様だった。
11583    その男は我々を、次から次と、その黒く鋭い目でにらみつけた。
11584    そして、苦々しく笑い声を上げる。

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