小説 (story)
11562 来いと言って来るやつがありますか。
11563 そんなことをしたら、かえって疑って逃げてしまうじゃありませんか。」
11564 「僕も、あの手紙の作り方は知っているつもりです。」とシャーロック・ホームズは言った。
11565 「事実、間違いではなさそうです、その紳士がご自身で邸内へおいでですから。」
11566 一人の男が玄関へ続く道を、大股に歩いてくる。
11567 背が高く、顔は浅黒く端正。
11568 灰色のフラノのスーツに身を包み、パナマ帽という出で立ち。
11569 もじゃもじゃのあごひげに、大きく前にとんがった鼻。
11570 籐の杖を振り回しながら男がやってくる。
11571 我が物顔で小道をふんぞり歩き、堂々と呼び鈴を響かせるのであった。
11572 「どうやら諸君、」
11573 ホームズが静かに言う。
11574 「我々はドアの影に潜んだ方が賢明のようだ。
11575 あのような男が相手では、用心に越したことはない。
11576 手錠も必要です、警部。
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