小説 (story)
11483 この方法を考えた連中の意図としては、この絵が何かを伝えるということは隠して、単に子どもが気まぐれに描いたものだと思わせたいというのがあるのでしょう。
11484 しかし、いったん記号が文字の代用とわかれば、あとは暗号のどんな類型にも通用する規則を当てはめるだけで、容易に解くことが可能です。
11485 最初に見せられた伝言は短すぎたので、ただこうとしか言い切れませんでした。
11486 つまり、両手を挙げたこの人形は、アルファベットのEであると。
11487 ご存じの通り、Eというのは英語のアルファベットで最もよく使われ、その頻度は、どんな短文にもたくさん見つかるほどです。
11488 最初の伝言にある十五の文字のうち、同じものが四つ、さすればこれをEとするのが合理的です。
11489 また、見ると、ある場合には旗を持つ記号があり、ある場合には持っていない。
11490 すると考えられるのは、この旗の現れ方を考慮すると、旗には文を単語に区切る役割があるのかもしれぬ。
11491 私はこの仮説を受け入れ、ひとまずEを表すのは、両手を挙げた人形であると考えました。
11492 しかしここからが本当に難しいところです。
11493 英語の語順では、Eのあとに決まってこれが来るというものがない。
11494 ある印刷用紙一枚の文章でとった平均順位も、短い文の中では逆転するかもしれない。
11495 およそのことを言えば、T、A、O、I、N、S、H、R、D、Lというのが出やすい順だ。
11496 だが、T、A、O、Iなどはたいへん拮抗している。
11497 ここで組み合わせを考えて意味を見いだそうとしてはきりがない。
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