小説 (story)
11451 「さびれた農場かね?」
11452 「ええ、さびれまくりです。」
11453 「では、その人たちは、夜の事件のことをまだ何も知らない?」
11454 「ええ、たぶん。」
11455 ホームズはほんのしばらく考えをめぐらせると、ふしぎな笑みを浮かべるのであった。
11456 「では君、馬の用意をして、ひとつ書き付けをそのエルリッジ農場へ持って行ってくれないか。」
11457 ホームズは懐から、踊る人形の紙切れをすべて取り出し、前に並べてしばらく書斎の机に向かった。
11458 やがて一枚の書き付けをその少年に渡し、これをこの宛名の人に手渡し、またどんな質問をされても決して答えないよう、くれぐれも言い含めた。
11459 書き付けの表面を見ると、宛名が、いつものホームズの綺麗な筆跡とは似つかない、めちゃくちゃな字で書き殴ってあった。
11460 ノーフォーク州、東ラストン、エルリッジ農場、エイブ・スレイニ宛とされていた。
11461 「ひとつ警部、」とホームズは声を張る。
11462 「電報で護送隊を要請した方がよいかと存じます。
11463 僕の計算が確かなら、警部はこれから極悪犯を州刑務所へ送らねばなりません。
11464 書き付けを持って行くこの少年に、その電報を届けさせましょう。
11465 午後にロンドン行きの汽車があれば、ワトソン、うまく乗れそうだ。
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