小説 (story)
11443 「どうぞどうぞご随意に、ホームズさん。
11444 犯人逮捕さえできれば。」
11445 「秘密にしたいというわけではなく、物事を進めながら長く込み入った説明をするのは難しいのです。
11446 事件の筋はすべて僕の手中にあります。
11447 万一ご婦人に意識が戻らずとも、昨晩の事件を再構成し、正義を行うことができます。
11448 まず、この付近の宿で、『エルリッジ』という名のものがあるか、確かめられますか?」
11449 召使いたちによく訊ねてみたが、聞いたことのある者はいなかった。
11450 馬番の少年だけ手がかりを持っていて、記憶によれば、そういう名前の農場主が、数マイル先、東ラストンの方角にいるらしかった。
11451 「さびれた農場かね?」
11452 「ええ、さびれまくりです。」
11453 「では、その人たちは、夜の事件のことをまだ何も知らない?」
11454 「ええ、たぶん。」
11455 ホームズはほんのしばらく考えをめぐらせると、ふしぎな笑みを浮かべるのであった。
11456 「では君、馬の用意をして、ひとつ書き付けをそのエルリッジ農場へ持って行ってくれないか。」
11457 ホームズは懐から、踊る人形の紙切れをすべて取り出し、前に並べてしばらく書斎の机に向かった。
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