小説 (story)
11391 三発目が撃たれとるとすれば、第三者がおるわけで、だが、何者がここにおって、なんぞの方法で逃げたんかの?」
11392 「それこそ、今取り組んでいる問題です。」とシャーロック・ホームズが言った。
11393 「ほら、マーティン警部、女中たちが部屋を出てすぐ火薬の臭いがしたと言ったとき、この点はきわめて重要だと言っておきましたね?」
11394 「ええ、先生。
11395 しかし、よくわからなかったのです。」
11396 「つまり、発砲されたとき、部屋の扉も窓も開いていたということです。
11397 でなくば、あの速さで火薬の煙が家中に立ちこめるわけがない。
11398 ふっと、ひとかぜ部屋を吹き抜けねば。
11399 ドアと窓が開いていたのは、ほんのわずかな時間なのです。」
11400 「なぜわずかだと……?」
11401 「ロウの流れ跡がありません。」
11402 「見事だ!」
11403 警部は叫んだ。
11404 「見事です!」
11405 「惨劇のときまさに窓が開いていたとすれば、間違いなく現場には第三者がおり、開いていた窓の外に立って、そこから中へ向けて発砲。
Go to Dashboard (guest)