小説 (story)
11298 わきにはテニスのできる芝地と黒い物置小屋、台座付きの日時計があり、今回の不思議な事件を思い起こさせた。
11299 隣では、口ひげをととのえた、身のこなしの軽いひとりの小柄な男が、ちょうど二輪馬車を降りたところであった。
11300 その男は、ノーフォーク警察のマーティン警部であると自己紹介したが、我が友の名を聞いたときはかなり驚いた様子だった。
11301 「これはホームズ先生、犯罪は今朝三時に行われたばかりなのですが、ロンドンから聞きつけて私と同時に現場に着くなんて、いったいどうやって?」
11302 「先を読んだのです。
11303 防げればと思いやってきました。」
11304 「では大事な証拠をすでにお持ちで。
11305 わからんのですよ、ふたりはたいへんむつまじい夫婦だという評判なので。」
11306 「証拠と言っても、踊る人形があるのみです。」とホームズは答え、「いずれご説明に及びましょう。
11307 何にせよ、この悲劇には手遅れですが、正義が行われるためにも、今持っている知識を活用したいと思います。
11308 警部のお気持ちは、捜査は共同、別々、どちらがよろしいです?」
11309 「一緒にやらせていただけるなんて、とても光栄です、ホームズ先生。」
11310 警部は熱意を込めて言った。
11311 「ぐずぐずせず、早速聞き取りと邸内の捜査を始めましょう。」
11312 マーティン警部は物わかりもよく、我が友人を自由にやらせてくれ、ただその結果を見守るだけで満足のようだった。
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