小説 (story)
11218 これは何より大切な証拠となりましょう。
11219 欲しいものは揃いました。
11220 さて、ヒルトン・キュービットさん、その興味深い話をお続けください。」
11221 「もうこの先はないのですが、ホームズさん、ただ、私はその日の晩に妻を叱りまして、私が曲者をつかまえようと出て行くのを引き留めたんですからね。
11222 そうすると妻は、私が怪我をしてはいけないからと言い訳するのです。
11223 その瞬間、心によぎったんです。
11224 妻が案じているのは私でなく、向こうの怪我なのではないかと。
11225 つまり、妻は相手が何者かを知っていて、その変な暗号もわかっている。
11226 しかし、妻の声の調子なんですよ、ホームズさん、目の色も、どうも嘘をついているとは思えないんです。
11227 それで私は、やはり本当に妻が心配したのは、私の身であったのだと考えます。
11228 これでもう話は終わりましたが、さてどうすればいいのか、ご助言いただきたいです—私の考えとしては、小姓どもを五、六人茂みに潜ませて、出てきた曲者をしたたか打ちのめせば、以後私どもに近寄ることもないかと存じますが。」
11229 「そんな単純な手で収まりはつきますまい。」とホームズは言う。
11230 「ロンドンにはどの程度ご滞在で?」
11231 「今日中には帰宅を。
11232 妻を一晩中ひとりにしておくなんて、とんでもない。
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