小説 (story)
11128 「ありません。」
11129 「たいへん閑静なところかと存じますが、新顔などが現れたという噂は?」
11130 「ごく近所で、ありました。
11131 しかし近場に海水浴場がありますので、よく地主どもが人を泊めるのです。」
11132 「この絵文字は、確かに何か意味がある。
11133 もしまったくのでたらめとすればお手上げですが、ここに規則があるなら、必ず暴くことができます。
11134 ですがこれだけではなにぶん短くて、いかんともしがたく、またお聞かせいただいた事柄も、まだ漠として何とも調べようがありません。
11135 おすすめしたいのは、一度ノーフォークにお帰りになって、注意深く監視をし、再度この踊る人形が現れた際には、それを正確に写し取ることです。
11136 先の窓ガラスに描かれたものの写しを見ることかなわないとは、残念至極です。
11137 辺りに不審者がないかどうかも、じゅうぶん注意願います。
11138 新たな証拠が手に入りましたら、またおいでください。
11139 これがあなたに対しての、僕の最善の答えです。
11140 それではヒルトン・キュービットさん、もし新展開でもありましたら、そのときはいつでも出立して、ノーフォークのお宅でお目にかかりましょう。」
11141 この会見ののち、シャーロック・ホームズは深く考え込んでしまった。
11142 そして二三日の間、手帳から例の記号の描かれた紙切れを取り出しては、じっと熱心に見つめるのであった。
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