小説 (story)
11105 さていよいよ話が奇怪な部分に進むのですが、一週間ほど前—そうです、先週の火曜日です—私はガラス窓の上に、この紙にあるようなでたらめな、小さな踊る人形が描かれているのを発見しました。
11106 それはチョークで殴り描きされていて、私は馬番の少年がやったのだと思ったのですが、その坊主は、全く知らないと言い張るのです。
11107 とにかく夜に描かれたものでした。
11108 私は洗い落としてから、このことを妻に話しました。
11109 ところが驚いたことに、妻はそんなものをまじめに取り合って、もしまた描かれたらぜひ見たいと言うのです。
11110 それから一週間は描かれなかったのですが、ちょうど昨日の朝、また私は、庭の日時計の上に、この紙切れが置かれているのを見つけました。
11111 私がそれをエルシィに見せますと、卒倒して倒れてしまったのです。
11112 それ以来、妻はぼうっとしてしまって、いつも何かにおびえた目をするのです。
11113 それから私はホームズさんに手紙を書いて、この紙切れをお送りした次第です。
11114 こんなもの、まさか警察に訴えても笑いものにされて取り合ってくれないでしょうし、あなたでしたらどうすべきか教えてくださると思ったのです。
11115 私は決して裕福ではありませんが、何かが妻をおびえさせているのだとしたら、全財産をかけても妻も守ってやりたいと思うのです。」
11116 善良な男だ—古き良きイギリス人—素朴で実直、そして温和、目は大きく熱意のこもった青色、顔は大きく端正。
11117 ホームズは集中してこの話を聞いていたが、そのあと、しばし黙って思案に沈んでいた。
11118 「ですが、キュービットさん。」
11119 ようやく口を開く。
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