小説 (story)
11099 どうか頼ってくれ。
11100 ここに最高の伴侶がいるじゃないか……でも、妻が言い出さなくては、こちらから切り出せない。
11101 わかってください、妻は誠実な女性なのです、ホームズさん、もし過去に何かいざこざがあるとしても、妻の落ち度ではないはずです。
11102 私はノーフォークの田舎者にすぎませんが、それでも英国随一の旧家だと、妻も存じておりますし、結婚前から認めておりました。
11103 まさかその妻が、私の家名を汚すなどありえません。
11104 それは絶対です。
11105 さていよいよ話が奇怪な部分に進むのですが、一週間ほど前—そうです、先週の火曜日です—私はガラス窓の上に、この紙にあるようなでたらめな、小さな踊る人形が描かれているのを発見しました。
11106 それはチョークで殴り描きされていて、私は馬番の少年がやったのだと思ったのですが、その坊主は、全く知らないと言い張るのです。
11107 とにかく夜に描かれたものでした。
11108 私は洗い落としてから、このことを妻に話しました。
11109 ところが驚いたことに、妻はそんなものをまじめに取り合って、もしまた描かれたらぜひ見たいと言うのです。
11110 それから一週間は描かれなかったのですが、ちょうど昨日の朝、また私は、庭の日時計の上に、この紙切れが置かれているのを見つけました。
11111 私がそれをエルシィに見せますと、卒倒して倒れてしまったのです。
11112 それ以来、妻はぼうっとしてしまって、いつも何かにおびえた目をするのです。
11113 それから私はホームズさんに手紙を書いて、この紙切れをお送りした次第です。
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