小説 (story)
11094 その頃、妻はアメリカからの手紙を受け取りました。
11095 アメリカの消印があったんです。
11096 そのとき、妻の顔は気絶しそうなほどに真っ青で、手紙を読むと、それをそのまま火の中に投げ込んでしまいました。
11097 その後、妻は別段そのことについて何も言いませんでしたし、私もまた約束に従って、そのことについては一言も触れませんでした。
11098 しかし妻は、それ以来ずっと、何か不安げで—何ごとかにびくびくしているようでした。
11099 どうか頼ってくれ。
11100 ここに最高の伴侶がいるじゃないか……でも、妻が言い出さなくては、こちらから切り出せない。
11101 わかってください、妻は誠実な女性なのです、ホームズさん、もし過去に何かいざこざがあるとしても、妻の落ち度ではないはずです。
11102 私はノーフォークの田舎者にすぎませんが、それでも英国随一の旧家だと、妻も存じておりますし、結婚前から認めておりました。
11103 まさかその妻が、私の家名を汚すなどありえません。
11104 それは絶対です。
11105 さていよいよ話が奇怪な部分に進むのですが、一週間ほど前—そうです、先週の火曜日です—私はガラス窓の上に、この紙にあるようなでたらめな、小さな踊る人形が描かれているのを発見しました。
11106 それはチョークで殴り描きされていて、私は馬番の少年がやったのだと思ったのですが、その坊主は、全く知らないと言い張るのです。
11107 とにかく夜に描かれたものでした。
11108 私は洗い落としてから、このことを妻に話しました。
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