小説 (story)
11051 私が見たあと、机の上に置きっぱなしにしてあったのだ。
11052 「ああホームズさん、これをどうお考えですか?」と紳士は声を振り絞る。
11053 「あなたは奇妙奇天烈なことがたいへんお好きだそうですが、きっとこれより奇妙なものはご覧になったことがないでしょう。
11054 前もってお送りすれば、あらかじめお考えになられるだろうと思ったのです。」
11055 「確かに、いくぶん妙ではあります。」とホームズが言う。
11056 「初見では、子どものいたずら描きのようにも見える。
11057 でたらめな人形が大勢で、書かれた紙の上を並んで踊っているようでもある。
11058 なにゆえ、かくも異形なオブジェを、重くお考えになるのですか?」
11059 「それは私じゃないんです、ホームズさん。
11060 その、私の妻が。
11061 これを見て、妻が卒倒しまして。
11062 あれは何も言いませんが、目がおびえているのです。
11063 ですから、私は、これを最後まで調べたいと思ったのです。」
11064 ホームズは紙切れを取り上げて、日の光に透かしてみせた。
11065 それはメモ帳から破り取ったもので、鉛筆で次のような絵が描かれていた。
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