10634    彼は叫んだ、「見たか？」

10635    だが、私には何も見えなかった。

10636    ホームズが光をつけたとき、低くはっきりした口笛が聞こえたが、私の疲れた目は突然の眩しい光を浴びて、我が友があんなに激しく打ち据えたものが何なのか、まったく見えなかった。

10637    だが、彼の顔が恐ろしく青ざめて、恐怖と嫌悪に満ちているのは見て取れた。

10638    ホームズは打ちつけるのを止めて、通気口を見上げた。

10639    すると突然、聞いたこともないほど恐ろしい叫び声が、夜の静けさを破った。

10640    耳障りな、痛みと恐怖と怒りが混じった、その恐るべき悲鳴はますます大きくなっていった。

10641    後で分かったことだが、ずっと村の外れの離れた家までもこの叫びは聞こえて、眠っていた人を起こしたそうだ。

10642    その叫びは我々の心臓に冷たく突き刺さり、最後の響きが消えて静けさが戻るまで、私とホームズはお互いを見つめていた。

10643    「なにがどうなったんだ？」

10644    私はあえいだ。

10645    「全部終わったってことさ」

10646    ホームズは答えた。

10647    「たぶん、最良の結果でね。

10648    ピストルを持て、博士の部屋に行こう」