小説 (story)
10567 通気口と綱に対して、いつも相対的に同じ位置になければならなかった。
10568 まあ、あの綱はどうみても、呼び鈴のためじゃなかったしね」
10569 「ホームズ、君が言わんとしていることが、おぼろげに分かってきたぞ。
10570 我々は巧妙だが、恐ろしい犯罪を食い止めるのにぎりぎり間にあったわけだな」
10571 「そう、実に巧妙にして恐るべき犯罪だ。
10572 博士たる者、道を誤ると、犯罪者としては最悪の存在になるものだ。
10573 大胆さと知識の両方を持ち合わせているからね。
10574 パーマーやプリチャードは本職の方も一流だった。
10575 今度の相手は一枚上手だが、ワトソン、我々なら、さらにその上手をいくことができるはずさ。
10576 それはそうと、夜明け前までには、何か恐ろしいことに立ち向かわなければなるまいから、今は静かにパイプでも吹かしながら、数時間は何か、もっと元気の出るように気分を変えておこうよ」
10577 九時頃、木々の間から漏れていた光が消され、屋敷の方向は真っ暗になった。
10578 ゆっくり二時間が過ぎていき、突然、時計が十一時を打ったときに、我々のちょうどすぐ前にひとつの明るい光が差してきた。
10579 「あれが合図だ」とホームズは言って、起き上がった。
10580 「真ん中の窓から来ている」
10581 宿を出るときに、我々は主人に挨拶して、知人を尋ねるので、もしかすると向こうで泊まるかも知れないと言った。
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