小説 (story)
10488 このひどい世の中でも、賢い男が犯罪に走ることほど始末におえないことはない。
10489 ストーナーさん、こちらは十分に拝見したようですので、お許し願えれば、芝生の上を歩きたいのですが」
10490 我々が調査を終えたとき、我が友ホームズは、見たことがないほど眉をひそめた険しい顔をしていた。
10491 私たちは一緒に芝生を行ったり来たりしたが、ストーナー嬢も私も、彼が考え込んでいる間、邪魔はしなかった。
10492 「これは非常に重要なことですが、すべての面において、私の忠告に完全に従って頂きますよ」
10493 彼はストーナー嬢に言った。
10494 「確かにそのようにいたします」
10495 「事態はもはや、少しのためらいも許さないほど深刻なものです。
10496 ご協力していただけないと、お命に関わります」
10497 「あなたの手にすべてをおゆだねしますわ」
10498 「まず、私とワトソンは、あなたの部屋で夜を過ごします」
10499 ストーナー嬢も私も、驚いて彼を見つめた。
10500 「そう、そうしなくてはならないのです。
10501 どうか説明させてください。
10502 この先に宿屋がありますね?」
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