小説 (story)
10415 それからレンズで蝶番を調べたが、頑丈な鉄製で、どっしりとした石造りの壁にきっちり取り付けられていた。
10416 「ふむ!」と彼は困惑して、顎を掻いた。
10417 「私の考えにはどうも問題があるようだ。
10418 この鎧戸が閉められていたなら、誰も通ることができなかったに違いない。
10419 うむ、内側になにか糸口があるか見てみましょう」
10420 小さな内玄関が、三つの寝室に通じる漆喰塗りの廊下へ続いていた。
10421 ホームズは三つ目の部屋を調べようとはせず、我々はストーナー嬢が今寝室として使っている、そして彼女の姉が運命の死を迎えた、二つ目の部屋へと向かった。
10422 そこは田舎風に作られた低い天井で、大きく開いた暖炉がある、地味な小さな部屋だった。
10423 引出しのついた茶色の箪笥が一角にあり、一角には上掛けの掛かったベッド、窓の左側には化粧台があった。
10424 これらの品々、そして枝編み細工の二つの小さな椅子と、中央のウィルトン・カーペット、それがこの部屋にある家具のすべてだった。
10425 下地板は角が取れ、壁板は虫に食われた茶色の樫で、あまりにも古く色褪せているので、おそらくはこの屋敷の昔からある部分と思われた。
10426 ホームズは部屋の一角に椅子を引きよせて、静かに座った。
10427 彼の目はあちらこちら、上下を行ったり来たりして、この部屋のどんな細部も見逃さなかった。
10428 「この呼び鈴は、どこと繋がっているのですか?」
10429 枕のそばに房が置かれ、ベッドの脇に下がっている太い綱を指して彼は尋ねた。
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