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小説 (story)

まだらの紐をめぐる冒険 (spec)

10387    「ロイロット博士は、自分の身を守らなければならないでしょう。
10388    彼よりもさらに狡猾な誰かさんが、後を追っていることを知ればね。
10389    今夜は鍵を掛けて、ご自分の身をお守りなさい。
10390    もし彼が乱暴をしたら、私たちがハロウの叔母さんのところまで送ってあげます。
10391    さて、有効に時間を使わなければならないので、問題の部屋までお連れ下さい」
10392    建物は苔むした灰色の石造りで、中央の高い部分と、蟹のはさみのように曲がってそれぞれの側に伸びた、二つの翼からなっていた。
10393    翼の一方では、窓は割れて木の板で塞いであり、屋根は部分的に崩れ落ち、さながら廃墟を絵に描いたようだった。
10394    中央部は少しは修理がされており、右手の部分は比較的最近のもののようで、いくつかの煙突からあがる青い煙が渦を描いているのと、窓に日除けがあるので一家が住んでいる場所であることが分かった。
10395    足場のいくつかは端の壁に作られており、石積の工事が始められているようだったが、我々が訪れたときには、石工はいなかった。
10396    ホームズは手入れの悪い芝生をゆっくり行ったり来たりして、細心の注意を払いながら、窓の外側を調査した。
10397    「察するに、これが、あなたが以前寝室として使われていた部屋の窓ですね。
10398    この中央のがあなたのお姉さま、母屋の次の窓がロイロット博士のものですか?」
10399    「その通りです。
10400    でも、私は、今は真中の部屋で寝起きしています」
10401    「改装が終わるまでね、なるほど。

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