小説 (story)
10361 「こちらがストーク・モランかい?」とホームズが尋ねた。
10362 「そうです、グリムズビー・ロイロット博士のお屋敷です」と御者が答えた。
10363 「私たちの行くあちらの方では、工事をしているようだね」
10364 「村はあちらの方ですが」と、左手の少し離れた一群の屋根を指しながら御者は言った。
10365 「もしお屋敷へ行かれるのでしたら、この踏み段と牧場の小道を行かれた方が近道でしょう。
10366 ああ、あのご婦人が今歩かれている場所です」
10367 「あのご婦人は、ストーナー嬢かな」
10368 ホームズは日差しをさえぎりながら、観察した。
10369 「うん、君が言うとおりにしたほうがよさそうだ」
10370 我々は降りて料金を払い、軽二輪馬車は、がたがたレザーヘッドの方へ帰っていった。
10371 「あの御者は、我々のことを建築家か、何かつまらない仕事で来たと思うはずだ。
10372 よけいな噂をしたりしないだろう」とホームズは踏み段を昇りながら言った。
10373 「こんにちは、ストーナーさん。
10374 約束通りに参りましたよ」
10375 依頼人は、喜びに顔を輝かせて、急いで駆け寄ってきた。
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