小説 (story)
10193 義父が姉のそばまできた時、姉は意識を失っていましたが、義父はブランディを姉の喉に流し込んで、医者を呼びにやらせました。
10194 でもすべての試みは無駄で、姉は意識を取り戻すことなく、ゆっくり沈んでいくように死んでいきました。
10195 これが私の愛する姉の恐ろしい最期です」
10196 「ちょっと待ってください」とホームズは言った。
10197 「あなたはこの口笛と金属音を確かに聞いたのですね?
10198 誓って?」
10199 「州の検視官様も、同じ事を質問されました。
10200 確かに聞いたという強い印象があるのですが、あの風と古い家のきしみのせいで、もしかすると聞き違えたのかもしれません」
10201 「お姉さまは、服をきちんと着ておられましたか」
10202 「いえ、姉は夜着でした。
10203 右手に焦げたマッチの燃えさしと、左手にマッチ箱を持っていました」
10204 「つまりお姉さまは何か危険を感じ、マッチを点けて、辺りを見回したわけだ。
10205 それは重要ですね。
10206 それで検視官はなんと?」
10207 「義父の品行は州でつとに悪名高いものでしたから、検視の方は、細心の注意をもって調査されたようです。
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