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小説 (story)

まだらの紐をめぐる冒険 (spec)

10104    母が残してくれたお金は、欲しいものは何でも買えるほどありましたし、私たちの幸せには、何の障害もないように思えたのです。
10105    しかし、このころ、義父は恐ろしく変わってしまったのです。
10106    近所の人は、ストーク・モランのロイロット家の一人として、義父が古い家に戻ってきたのを、初めは大喜びしてくれました。
10107    そのご近所と行き来して、友だちづきあいするでもなく、義父は家の中に閉じこもって、ほとんど出てきませんでした。
10108    そして誰であれ、私道を渡ろうとする人と激しい喧嘩をするのです。
10109    ほとんど躁病に近い気性の乱暴さは、家族の男たちに先祖代々共通するものです。
10110    義父の場合は、長い熱帯の生活で、余計に強まったのだと、私は信じております。
10111    みっともない大喧嘩がいくつもあり、そのうち二つは、裁判沙汰になりました。
10112    ついに義父は、村で恐るべき存在とみなされ、近寄ると皆逃げ出しました。
10113    義父は大変力持ちで、怒るとまったく手がつけられなかったのです。
10114    先週、義父は、村の鍛冶を、橋の手すり越しに川に投げ込みました。
10115    私が集められる限りのお金を払って、ことが公になるのをようやく、まぬがれたのです。
10116    義父は、放浪のジプシー以外は友達を持たず、彼らに一家の地所である、茨で覆われた数エーカーの土地で、キャンプする許可を与えていました。
10117    その代わりに、義父は彼らのテントで過ごし、時には数週間にも渡って、連中とさすらうこともありました。
10118    義父は、ある駐在員から送られてくる、インドの動物にも情熱を傾けております。

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