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小説 (story)

まだらの紐をめぐる冒険 (spec)

10015    「いや、依頼人さ。
10016    ある若いご婦人が相当な興奮状態で来たらしく、私に会いたいと言ってきかなかったそうだ。
10017    居間で待っているよ。
10018    若いご婦人が、朝のこの時間に大都会をうろついて、寝ぼけまなこの連中をベッドから叩き起こすときには、きっと何か非常に急で伝えなければならないことがあるのだろう。
10019    興味深い事件であれば、絶対君は最初から知りたがるだろうからね。
10020    そこでともかく、君を呼んでチャンスをあげようと考えたわけだ」
10021    「なるほど、それはどうしたって見逃せないな」
10022    私はなににもまして、ホームズの職業的調査を追うことに、またほとんど直観とも思えるほどにすばやく、しかも常に論理的な根拠に基づく、その速やかな推論に感服することに、無上の喜びを見出していた。
10023    私は素早く服を着て、数分で準備を整え、居間へ我が友と同行した。
10024    私たちが入ってくるなり、窓際に腰掛けていた、黒い服を着てヴェイルに深く身を隠した婦人が立ち上がった。
10025    「おはようございます」
10026    ホームズは快活に挨拶した。
10027    「私がシャーロック・ホームズです。
10028    こちらは私の親しい友人で、相棒のワトソン博士。
10029    彼の前では私の前同様、ご自由にお話しください。

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